危機の時代の大学経営2023『我が国の高等教育改革の現在と将来』
「グランドデザイン2040(答申)」が出されたのが2018年。その後の社会情勢は、コロナ禍、グローバリズムの段階的崩壊、気候変動の激化、AI技術革新の加速化、そして我が国の18歳人口の加速的減少等々、想定外の事例が沸騰しています。
とりわけ、2022年の出生者数が77万人となり、「グランドデザイン」が想定していた2040年の18歳人口の88万人を大きく割り込んだことが、白日の下に明らかになりました。2022年の専門学校を含む高等教育への進学者が79万人でしたから、全員が進学したとしても、定員が2万人過剰になる計算になります。
またDX、GXに対する社会的ニーズが加速的に高まり、総合知を備えた高度な専門的人材の育成と国際競争力を有する研究力の高度化が、高等教育すべての分野に課せられた大きな課題となりつつあります。
しかもアフター・コロナの社会が求める新たな社会の中で、グローバル標準の“学位プログラム”を実現し、グローバル社会が要請する人材を育成し、国際競争力を有する研究力を強化しなければならない――というこれまで直面したことのない課題に着実に応えていかなければなりません。
本シンポジウムでは、①激変する社会環境の中で、大学が取り組むべき経営改革、教育力・研究力の強化の方向性に関して、文科省の支援施策の現状と将来展望を文科省高等教育局の池田貴城局長から示唆していただくとともに、②私学大学の視点から大きな改組を進めている日本女子大学の篠原聡子学長、また国立金沢大学の大学改革・競争力強化に向けて先進的に取り組んでこられ、新たに福島から創造的復興の中核拠点を目指す福島国際研究教育機構の山崎光悦理事長、③私学ガバナンスに造詣の深い大河原遼平弁護士、大学の資産運用に深い知見と経験をもつ㈱IBJ代表取締役/松田裕視氏から示唆に富んだ教示をいただきました。
お天気にも恵まれ、無事開催を終了することができました。京都会場にお越しの皆さま、オンラインでご視聴の皆さま、多数のご参加をいただき誠に感謝申し上げます。
大学改革推進フォーラム
講演者紹介
我が国の高等教育政策の動向
文部科学戦略官
伊藤 学司 氏
※当初予定していた文部科学省高等教育局長池田貴城様は国会の関係で急遽ご欠席になりましたが、文部科学戦略官伊藤様に京都に駆けつけていただきました。
日本女子大学の改組改革
日本女子大学学長
篠原 聡子 氏
略歴
しのはら さとこ
1958年千葉県生まれ
1981年日本女子大学家政学部住居学科卒業。日本女子大学大学院修了後、香山アトリエを経て、空間研究所主宰。
1997年から日本女子大学で教鞭を執り、現在、日本女子大学家政学部住居学科教授。2020年5月より同大学学長。
主な作品は、RIGATO F(1998、東京建築士会住宅建築賞2000)、大阪府営泉大津なぎさ住宅(1999)、ヌーヴェル赤羽台3,4号棟(B1街区)(2010、グッドデザイン賞2012)、竹内医院(2010、千葉県建築文化賞2011)、日本女子大学附属豊明幼稚園(2011)、SHARE yaraicho(2012、住まいの環境デザイン・アワード環境デザイン最優秀賞2013、日本建築学会賞[作品]2014)、SHAREtenjincho(2021)など。
著書に、『変わる家族と変わる住まい』(共編著、彰国社、2002年)『住まいの境界を読む 新版』(彰国社、2008)、『おひとりハウス』(家を伝える本シリーズ、平凡社、2011)『アジアン・コモンズ』(平凡社、2021)などがある。
国立大学改革の先進事例から
~ 福島の創造的復興の中核拠点形成を目指して ~
前金沢大学学長
福島国際研究教育機構理事長
山崎 光悦 氏
略歴
やまざき こうえつ
昭和26年 富山県生まれ
昭和49年 金沢大学工学部機械工学第二学科卒業
51年 金沢大学大学院工学研究科機械工学専攻修了
57年 工学博士号取得(大阪大学)
51年 金沢大学助手(工学部)
平成元年文部省在外研究員 (カルフォルニア大学サンタバーバラ校)
6年金沢大学教授(工学部)
22年 金沢大学理工研究域長・理工学域長 (工学部長兼任)
24年 金沢大学理事(研究・国際担当)・副学長
26年 金沢大学長(~令和4年3月)
令和 4年 福島国際研究教育機構(F REI) 理事長予定者として岸田総理より指名
5年 F REI 初代理事長
法改正を機に、私立大学のガバナンス改革とその課題
TMI総合法律事務所
パートナー弁護士
大河原遼平 氏
略歴
おおかわら りょうへい
2005年 一橋大学法学部法律学科卒業
2007年 一橋大学法科大学院修了、最高裁判所司法研修所入所
2008年 弁護士登録(第一東京弁護士会)
2009年 TMI総合法律事務所勤務
2013年 文部科学省高等教育局私学部勤務(専門官(課長補佐級)として常勤)
2017年 TMI総合法律事務所復帰
公益財団法人日本高等教育評価機構 大学機関別認証評価 評価員就任
文部科学省 学校法人制度改善検討小委員会 委員就任(~19年)
2018年 私学高等教育研究所 研究員就任
2019年 文部科学省 通信制高等学校の質の確保・向上に関する調査研究協力者会議 委員就任(~21年)
2020年 パートナー就任
2021年 文部科学省 「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高等学校の在り方に関する調査研究協力者会議委員就任
2022年 一橋大学大学院法学研究科非常勤講師
【業務内容】
文部科学省在職時には、2014年の私立学校法改正作業、「私立大学等の振興に関する検討会議」における企画立案、学校法人運営調査その他文部科学省に関する法律業務、政策立案業務等を広く担当。
現在は、文科省勤務以前からの主要業務であった事業会社への一般企業法務、知的財産、危機管理、紛争解決等に加え、大学を中心とした教育業界への各種法律業務もメイン業務としている。学校法人、国立大学法人の理事を歴任。
文科省会議の委員として、2019年の私立学校法改正につながる提言に関与。大学に関する各種講演・研修等を担当。日本経済新聞朝刊(19年2月18日、23年6月20日)、教育学術新聞(19年1月、21年11月、22年8月)への寄稿も。
大学運営を牽引する米国大学基金の資金運用の基本的考え方
株式会社IBJ代表取締役
松田 裕視 氏
略歴
まつだ ひろみ
東京大学経済学部卒業。株式会社日本興業銀行入行後、融資、外為、証券、M&A関連業務等に従事するほか、ロサンゼルス支店にて、企画、人事、内部監査等アドミニストレーション業務に従事。
米国にて起業後、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学ならびにカーネギーメロン大学等米国研究大学の財務・資産運用チームの協力を得て、日本の大学のエンダウメント(大学基金)構築を支援。
2003年12月当社設立、代表取締役就任。
我が国の高等教育改革の現在と将来像をめぐって
元日本私立学校振興・共済事業団理事長
河田 悌一 氏
略歴
かわた ていいち
1945年 京都市生まれ
1968年3月 大阪外国語大学中国語学科卒業
1972年3月 大阪大学大学院文学研究科博士課程所定単位修得後退学
大阪大学博士(文学)
1972年4月 和歌山大学助手
1980年4月 文部省長期在外研究員(イェール大学)
1986年4月 関西大学教授(文学部)
1993年4月 関西大学国際交流センター所長
1998年10月 関西大学文学部長
2001年4月 関西大学副学長(共通教育担当)
2003年10月 関西大学学長(~2009年9月)
2010年1月 日本私立学校振興・共済事業団理事長(~2018年3月)
2018年7月 一般社団法人大学資産共同運用機構理事長
2020年9月 一般社団法人大学基金推進機構理事長
(一般社団法人大学資産共同運用機構から名称変更)
2021年4月 関西大学東京センター長(現在に至る)
文部科学省中央教育審議会臨時委員(2009~2021年2月)、大学教育再生加速プログラム(AP)委員会委員長、日本学術振興会育志賞選考委員会委員、国立大学法人金沢大学経営協議会学外委員、国立大学法人千葉大学経営協議会学外委員、国立大学法人筑波大学経営協議会学外委員など。2021年春瑞宝重光章
〔専門分野〕中国思想史、現代中国論
キャンパスプラザ京都
京都市大学のまち交流センター
(大学コンソーシアム京都)
4階第2講義室
13時~17時45分(開場12時30分)
オンラインによる視聴でもご参加可能です、遠方の方々にもご覧いただけます(ZOOM)。
〒600-8216 京都市下京区西洞院通塩小路下る東塩小路町939
京都市営地下鉄烏丸線、近鉄京都線、JR各線「京都駅」下車、徒歩5分
※ お越しの際は、可能な限り「京都市バス」、「京都市営地下鉄」をご利用ください。
当日の講演内容
※池田局長は国会の関係で京都にお越し願うことができなくなりましたが、文部科学戦略官伊藤学司様にご講演いただきました。